熊谷スマートシティ デジタルデザイン企画
「未来のまちづくり スマートクールシティワークショップ」
「中間報告会」
開催日時: 2024年9月28日 Sat .13:30〜15:30
イベント概要
このプロジェクトは熊谷の夏を、「暑さだけでなく、将来を見据えたデジタルと絡めた事業をやっている」とポジティブに発信し、熊谷市民やまちに関わる全ての方に誇りに感じてもらえるまちづくりをしたいとの想いから、立正大学との共同研究を市民・大学・産業関係者・起業家と連携して行うものです。
第1弾として、今年度は熊谷市の特徴でもある暑さ(気温・湿度)に関するデータを市民参加で観測し、涼しさを感じられる取組の効果なども含めた観測結果の分析や、観測機器やノウハウをパッケージ化し創業へつなげる検討を行います。
イベント詳細
中間報告会は、ワークショップ参加者のほか、市民、産業関係者、熊谷地方気象台、学校関係者、学生など16名の方が傍聴にお越しくださいました。
1
開会挨拶
中間報告会は、大島副市長の挨拶で始まりました。
大島副市長は、「参加者の皆様が報告内容の取りまとめに積極的にご協力いただいている点や、今回のテーマである「暑さ」という社会課題、地域課題のビジネス化のアイデアまで出していることに予想外に嬉しさを感じている。本気で商品化に取り組むに当たっては、企業との調整やネタバレしないギリギリで発表するなどのリアルな課題があるが、そこを参加者や関係者で一緒に考えられたことも財産であると考えている。
熊谷市は市民の方や企業様とデジタルの力を借りて、職員もそれぞれが自分なりに将来の熊谷市のビジョンを描きつつ、庁内連携、公民連携でブラッシュアップし、アイデアを実現することを目指しているので、ぜひ応援していただけると大変ありがたい。」と述べました。
2
取り組みの概要説明
政策調査課から、このワークショップの位置づけや、これまでに実施した説明会、各ワークショップでの取組を説明しました。また、市内の商業施設と民間企業が連携し、実施している「やさしい日傘プロジェクト」の説明があり、「スマートクールシティを推進するため、市内でクールシティという同じ理念で取り組まれているプロジェクトとこれからも積極的な連携を図りたい」との説明がありました。
3
各班の発表
A班「~これなら鬼も生きられる?!~星川沿いのクール隠れ家計画」
課題・仮説:夏場は星川エリアで街歩きをする人が少ない。アスファルトやタイル敷きの強烈な照り返しを防いだり、日陰により涼しく快適な街歩きが実現できるのではないか。
クールアクション:「星川広場を人工芝でクールに変身大作戦」
B班「雪国の「消雪パイプ」でクール大作戦」
課題・仮説:星川周辺は舗装されており車通りも多いが、雪国の消雪パイプをヒントに、水で地面を冷やすことで周囲の気温が涼しくなるのではないか。
クールアクション:「雪国の「消雪パイプ」でクール大作戦」
C班「クールアクション“打ち水小作戦”」
課題・仮説:個人やコミュニティで実行できる方法として打ち水があるが、1回だけでなく2回行うことでさらに効果が出るのではないか。
クールアクション:「打ち水の工夫とコミュニティの力で街をクールに」
D班「自然の涼しさを活用!ペットにも優しい休憩スペース」
課題・仮説:人も暑い夏は、地面に近い場所で生きるペットにも過酷。気化熱で温度を下げられるのではないか。
クールアクション:「ねこがのびのびクールシティ作戦!」
E班「日本一暑い熊谷で夏を満喫しよう!~安心して子どもが屋外で遊べるまちへ」~
課題・仮説:夏は暑いが、暑いからこそ外で楽しく遊べる機会が必要ではないか。楽しく遊び、同時に気温を下げられるのではないか。
クールアクション:「遊んで冷やせ!!~夏の水風船バッティング~」
4
ファシリテーターから講評
白木ファシリテーター
A班:星川の水面は涼しく、水面から20㎝程度以上になると温度は変わらないので、実際に、どこまでが涼しくてどこから暑くなるのか、星川の温度分布を調べると面白いのではないか。
B班:今回は水道から水を採ったが、星川から水をくみ上げた場合を想定して水質も調査し議論したり、水の適正量や水を流すことによる蚊の発生などへの対策も考えると面白いのではないか。
C班:打ち水は日本の伝統であり取り組みやすいアクションであるが、イベント的なものではなく継続できるような仕組みやルール作りなどが重要になるので、そのあたりを一つ一つ克服していくとよいのではないか。
D班:地表面付近は想像よりもかなり暑い。地面に近いところにいるペットに優しいというのは時代に即したキーワードと考える。より効果の出る置き場所の見極めが必要になると考える。
E班:日本一暑い熊谷で夏を満喫しようという発想の逆転が素晴らしい。実際にクールアクションの際は子供達の笑い声が絶えず印象的だった。水があり、人が集まる場所の設定を考えるとよいのではないか。
また、環境科学会において白木ファシリテーターが発表した「埼玉県熊谷市におけるスマートクールシティワークショップの試み」について、会場内に発表ポスターを貼っていただき、参加者、来場者と発表内容を共有しました。
原田ファシリテーター
資料の一次提出の後ファシリテーターからのコメントを受け、短時間で変更するのは苦労があったと思うが、各班とも格段によくなっていた。シンプルに、わかりやすく伝えることに意識を置いた資料になっておりとても分かりやすかった。また、各班で趣向を凝らし、聞いている人が面白くわくわくするようなプレゼンだった。実際のプレゼンを通じて経験や得るものがあったのではないかと思う。
A班:人の少なさと暑さに相関関係を見た点が面白い。事業化計画もきちんとしており実現性が高いのではないか。
B班:資料中の地図表現がわかりやすかった。「効果が出なかった」=「これをやると失敗する」ということがわかったので、成功確率が高まることにつながる。
C班:地元愛や関係者への配慮を感じた。打ち水の歴史的背景もよく調べ、わかりやすくユニークな資料だった。
D班:モックアップ(模型)まで制作したところに熱量を感じた。シンプルさはコストダウンにもつながる。ロードマップの実行性が高い。
E班:暑さを楽しむという逆転の発想が面白い。ステークホルダーのとらえ方もよく、見やすくわかりやすかった。
三宅ファシリテーター
ABCDE、全部組み合わせて、地下は消雪パイプ、地表面は芝生、空中は打ち水をやるような文化的なアプローチと、スプリンクラーによる自動化。そこでさらに日陰を作ってベンチも作って、ペットも子供たちも遊べるようにしようしたらいいのではないか。今回の特徴的なところは、市民の皆さん、市役所、大学、学生、地元のお店や子供のスポーツチームも関わり、大学の研究にもなって、知恵を出し合ってこんな形になって素晴らしい取り組みとなった。
環境問題はすでに地球規模の問題であり、日本中だけではなく世界中に求められるサービスの種だと考えると、日本を代表する暑さの熊谷市、スマートクールシティに取り組む熊谷市から、問題へアプローチし、起業に向かう動きが出てきて、熊谷発で新たな産業を産むことができるのではないか。
熊谷に新しい企業ができて、それを世界的な有名な企業にまで育てるスタートがこのワークショップだった、参加の皆さんが市民として一緒に街を大きくしてきたというのがスマートシティという本質だと思う。ぜひ頑張っていただけたらと思います。
また、来場された方からも、感想やあたたかな励ましなどをいただきました。
5
コミュニティラボでの活動について、最終報告会について
政策調査課から、3月22日の最終報告会に向けて、今後コミュニティラボでの活動をお願いしたいとの説明と、コミュニティラボ(Slack)の説明、最終報告会について説明がありました。
6
参加者の感想、コメント
傍聴にお越しの方からは、「市民の方と市の職員の方とかがフラットに地域の課題について、こうした方がいいんじゃないかっていうのをフラットに話し合ってるっていうそれ自体が素敵」「各班が参加者の方々の熱意が感じられた。クールアクション前後の気温変化等のデータがわかりやすくまとめられていた。」「考えたアイデアが具体的に形になりつつある様子が印象的でした。」「それぞれのグループが取り組みは勿論ですが発表の手法も趣向を凝らしており、非常に興味深いものでした」「自分では考えつかないようなアイディアとかがあってとても面白いと思いました。今環境問題とかSDGsに関して興味があるのでとても勉強になりました。」「熊谷も『暑い』というデメリットなのかもしれませんけども、それをメリットに変えていくという皆さんのいろんな考え方、そういうところについていろいろおもしろいなと思いました。」などの感想がありました。